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宙組バウホール公演『双頭の鷲』DVD感想

 
  2018/10/30
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宙組バウホール公演『双頭の鷲』DVD感想
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平成生まれ平成育ち、北の大地に転がされし道産子。最近では上京を目論み始めた。


そろそろ現役タカラジェンヌを勉強しようという流れで、早速、この作品をチョイスしてみました。原作はジャン・コクトーの戯曲、映画。機会があれば、ぜひそちらも拝見したいです。

あらすじを読んだデジャヴ

皇太后からの束縛を嫌い自由を愛する王妃と、彼女を暗殺しようとした無政府主義者の悲恋物語。

自由を愛する王妃と無政府主義者。…あれ?どこかで聞いたことが。

それもそのはず、エリザベート皇后の暗殺事件に着想を得て書かれた物語だけあって、特に主演二人は取っ付きやすいキャラクターです。

『エリザベート』を知っている人ならば、「主人公のモデルはエリザベートとルキーニか」とすぐに思い当たるでしょう。

そして、宝塚ファンは更にキャストを見て「間違いなくシシィとルキーニだな…」と納得する二人でもありますね。轟悠さんと実咲凛音さんです。

よそ見している暇がない

幕開きは、1幕も2幕も必ず、ストーリーテラー(和希そら)の案内からスタート。

「こんなに説明台詞が必要か?」

という質問に対しては、私は躊躇いなく頷く所存です。

二人を魅せるための時間には、些細な疑問のせいで観客を置き去りにしている暇などないのですから。

見どころは、何といっても主役二人の美しさ。これに尽きます。脚本も舞台装置もすべて、この二人の美しさを際立たせるための演出に過ぎないのかもしれません。

悲劇的なストーリーを敷き、立ち込める死の匂いの中で、二人を追い詰めてゆく。

苦悩に満ちた表情でいるスタニスラス(轟悠)王妃(実咲凜音)の、なんと美しいことか。

以下、ネタバレ注意です。

王妃の立場を理解し心惹かれて、暗殺を取りやめたスタニスラスですが、自分の存在がこれからの王妃にとって邪魔になることが解ると毒を飲み自殺を図ります。
一方で、亡き王に瓜二つの青年に心奪われた王妃は彼の言葉を聞き、皇太后に歯向かうため宮殿へ返り咲こうと奮い立ったものの、スタニスラスが毒を飲んだことを知ると、同じく死を選びました。

皇太后派であるフェーン伯爵の思惑の中に死んでいったというのが、この悲劇を一層引き立てるところであり、耽美的な二人の死に更なる拍車をかけるように思います。

充実した宙組生

主演の二人だけでなく、脇を固める生徒さんたちにも安心感を抱きます。

スタニスラスと王妃を引き裂くフェーン伯爵(愛月ひかる)、亡き王と親しい友人であったフェリックス公爵(桜木みなと)、王妃へ執着するエディット(美風舞良)、そしてストーリーテラーと共に舞台を支えるパパラッチたち。

どこを見ても芝居と歌に穴がない、平均点以上の役者ばかり。

分かりやすいストーリーと演出のおかげで変な詮索をする隙がなく、理屈っぽい私のような人間には大変ありがたい作品でした。あっという間の2時間です。とても充実した舞台でした。

ところで、私は「麗しい」という言葉に、どこか希望に満ちた生のエネルギーを感じています。死に臨んだ二人を形容するには「美しい」という言葉だけが、それを許される気がするのです。

この演目を見て、改めて感じたことでした。


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