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雪組バウホール公演『二人だけの戦場』VHS感想

 
  2018/04/18
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雪組公演『二人だけの戦場』VHS感想
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ひたすら90年代の宝塚歌劇を愛する。文章を書くのが好きな20代。身体は女性、性自認は中性なXジェンダー。恋愛対象は女性です。パニック障害とうつ病を克服中。


こんにちは、鏡です。懐かしい名作を拝見しなおしました。

’94年に上演されたバウミュージカル『二人だけの戦場』。脚本・演出は正塚晴彦先生です。残念ながらDVD化はされていません。

観るためにはスカイステージでの放送を待つか、中古ビデオを探すしかないのがもったいないですね。

(ビデオ化しかされていない作品を、いっそ演出家括りのDVD/Blu-rayBOXとして売り出してくれてもいいのよ、と思ったり思わなかったり。)

あらすじ

「―思えば、全ては徒労だったような気がする。
結局、軍とは力であり、私の理想は幻でしかなかったのだ。
もちろん、今でも思い出さない日はないよ。
……けれど、すべては遠い、遠い虚しい戦いだった」

シンクレア元少尉(一路真輝)の声が、低く響きます。

彼は上官殺害の罪を償うため無期懲役の刑を受けているのでした。

多民族間の軋轢を無くすという理想を掲げた優秀な青年士官が何故、刑務所へ幽閉されることになったのか。

取材をしに来た作家へ口を開くシンクレアと、その話の中に浮かび上がる軍事法廷の様子。更にまた、その法廷においてシンクレアを弁護した親友クリフォード(轟悠)の答弁から、物語が紐解かれてゆきます。

異色のドラマ

主演は一路真輝、花總まり。言わずと知れたトップ娘役・花總さんのプレお披露目です。

作中の地名などは全て架空ですが、ストーリーの下敷きは、当時まさに真っ只中だったユーゴスラビア紛争に着想を得ており、宝塚にしては血なまぐささを感じる筋書きかもしれません。

主演二人の印象

まず、一路さんにしては珍しく軍服姿の男くさい役ながら、芯の通った人物であるシンクレアは、違和感を感じるどころか大層なハマり役。

花組の『メランコリック・ジゴロ』然り、正塚先生のアテガキは最高ですね。

作品のテーマは重いのですが、真ん中にいる一路さんの中性的なビジュアルのおかげで、舞台として丁度いいリアリティを保っている印象を受けました。

かと言って軽くなりすぎることがなく、端から端まで見ごたえのある舞台なのは、脇に控える轟悠、古代みず希、泉つかさ、汝鳥伶、矢吹翔など、貫禄のある顔ぶれのおかげでしょう。

花總さんの役は、ジプシーで踊り子のライラ。目を見張るほどの表現力を持ち合わせた演技で、一路さんとの相性も最高です。セリフのテンポ感が素晴らしい。

身長差がないことに目を向けられがちなコンビではありますが、少なくともこの演目において、それは何の障壁にも思えません。

結局、誰と誰の戦場なのか

ビデオを観るまで、タイトルの『二人だけ』というのは、シンクレアとクリフォードを指しているのだと思っていました。正塚作品には男の友情がつきものだという先入観も、もちろんありまして。

しかし劇中の恋模様を見てガラリと印象が変わります。不安定な国情に巻き込まれる全ての恋人たちにとってこそ、この世界のどこでもが『二人だけの戦場』になり得るのだと。

元々のストーリーの重さだけでなく、こうして観る前後でタイトルの印象が変化することからも、メッセージ性の強いことが窺える作品です。

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ひたすら90年代の宝塚歌劇を愛する。文章を書くのが好きな20代。身体は女性、性自認は中性なXジェンダー。恋愛対象は女性です。パニック障害とうつ病を克服中。

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